ヘッドランプは、日帰り登山でも必ず持ち歩きたい照明器具。
両手が自由になるヘッドランプは、安全で使い勝手がよく、必携の登山装備となっています。
また夜の山中は、ビックリするくらい”真っ暗”で、怖い場所なので、ヘッドランプなどの照明器具は、勇気を与えてくれる「心の寄り所」。
登山用ヘッドランプの主流はLED
昔は、登山用のヘッドランプは「豆球」を単3形の乾電池で点灯させるタイプがほとんどでしたが、現在は、LEDヘッドランプが主流です。
LEDヘッドランプはペツル社から
2000年にフランス・ペツル社のLEDヘッドランプ「ティカ」が輸入されると、その優れた性能により登山用ヘッドランプの流れはいっきにLEDへと傾き始めました。
LEDとは?
LEDとは、「LightEmittingDiode」のそれぞれ3つの頭文字を取ったもので、電気を流すと発光する半導体の一種。日本語では「発光ダイオード」と呼ばれています。
1960年代にはすでに赤色と黄緑色のLEDは存在し利用されていきましたが、ヘッドランプとして、利用されていませんでした。理由は、白色の光は発光させられなかったから。
そして1993年に「青色LED」が発明されたことにより、状況が一変します。この青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせることによって真っ白な光を放つ「白色LED」が開発されました。
ちなみに、この青色LEDは、日亜化学工業のサラリーマン技術者”中村修二”さんによって発明されました。
LEDヘッドランプのメリット
登山で使用するうえで、LEDヘッドランプの魅力は、
- とても軽く、衝撃に強い
- 発熱が少なく、省電力
- 球切れの心配が少なく、長寿命
さらに、山道具において、重要なのは『壊れにくい』と『軽い』の2点。
通常の電球は、衝撃に弱く、気づけば割れてて使えないこともありましたが、LEDヘッドランプは衝撃に強いうえ、軽さも備えています。
また省電力のため、長寿命であることも、山での安心ににつながっています。さらに、積み込む電池の量を減らせるため、ザックの軽量化にも。
LEDヘッドランプのデメリット
非常に優れたLEDですが、デメリットもあります。
- 青白い光
- 光度不足で、遠くを照らしにくい
- 個体差が大きい
LEDの光は、「人の目に白く見えるよう」にしている擬似的な白なので、映し出すものは青っぽくなってしまいます。
さらに光度不足で、遠くを照らしにくいという弱点もあります。LEDヘッドランプでは、この弱点を克服するために、「1W LED」「3W LED」と呼ばれる、出力の高い「高光度タイプ」のLEDユニットが使われます。
また、LEDそのものの個体差が大きいこともマイナス点。
LEDの光の単位は「ルーメン」
照明の光の単位は、いろいろとあります。
- カンデラ(光度)
- ルーメン(光束)
- ルクス(照度)
- ニト(輝度)
また照明に使われる単位として、ワット(エネルギー)があります。これは、光の明るさを示す単位ではなく、エネルギーの単位。
この中で、LEDヘッドランプのスペックで使われる光の単位は、主に「ルーメン」です。
ルーメン(lumen)とは、「1カンデラの光度をもつ光が単位空間内に放射される光の量」です。※1カンデラは、ロウソク1つの明るさ程度
ローソクなどの光は、光源が四方八方に拡散しますが、LEDは、ある決まった角度の空間にしか放射されません。そのため、ルーメンがLEDの光の明るさの単位として利用されています。
「ルーメン」を説明するのは難しいので、ルーメンの数値が高いほど、光は明るくなるという解釈で問題ありません。