登山中の低体温症とは?その原因と症状

登山中において低体温症は、冬場に限らず暑い季節にもおこりうる怖い疾患。1年を通じて注意が必要。

以下で『登山中の低体温症とは?その原因と症状』をご紹介します。

低体温症とは?

低体温症とは、体温が低下することでおこる疾患です。体外に放出される熱が、自分で産出する熱より多くなり、体温が維持できずに起こります。熱を発生させる筋肉量が少ない高齢者や小児などは、低体温症を起こしやすいので、さらに注意してください。

体外に放出される熱>体内で産出する熱

具体的には、体のコアの部分の温度(コア体温)が35℃以下になった状態を「低体温症」といいます。

【コア体温】

コア体温とは、核心温とも呼ばれ、心臓・肺・脳の温度のことで、体温計で測る体温とは違います。通常は37℃に保たれています。

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低体温症の原因

低体温症の3大原因は、『低温』・『』・『濡れ』です。

  • 低温
  • 濡れ

いうまでもなく「低温」と「風」は体から熱を奪いますが、とくに衣類が濡れると危険。

濡れた衣類は空気の25倍の速さで熱を奪うので特に注意が必要です。雨や雪ばかりではなく、「汗の濡れ」にも気をつけましょう。

また夏山でも気温が10℃以下、風速が10m以上だと危険です。

夏の北海道でおこった低体温症による遭難事件『トムラウシ山遭難』では朝から風雨が強く、一時風速は25mに達しており、多くの人がズブ濡れ状態だったと伝えられています。

このような極度の悪条件ですと1〜2時間で低体温症におちいりますし、また通常の悪天候でも5〜6時間で低体温症になることがあります。

【トムラウシ山遭難事件】

2009年7月にトムラウシ山を登山中に10人が低体温症により死亡した遭難事件。それまで低体温症は冬山の問題だととらえられていましたが、この遭難事件以降は、夏山でも「強風」と「雨」という条件があれば「低体温症」になる危険があることが周知されました。

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低体温症の症状

低体温症の症状は、主に『体の震え』と『意識障害』です。

コア体温 主な症状
36℃ 寒気を感じて震えが始まる
35℃ 震えが最大になり、周囲に無関心になる
34℃ 自力回復限界
34℃〜32℃ 意識障害が始まる。よろめく、眠たくなる。ロレツが回らなくなる。
32℃ 震えが止まる
32℃以下(生命の危険) 意識がなくなる。心肺微弱、呼吸減少、心肺停止。

体の深い部分の温度(コア体温)が36℃になると、寒さを感じて震え始めます。35℃で震えは最大になり、周囲に無関心で疲れたように見えます。35℃以下を『低体温症』といいます。

自力回復の限界は『34℃』

低体温症から自力で回復できる安全限界は34℃です。34℃で意識障害が始まり、周囲に無関心になります。よろめいたり、ろれつがまわらなくなります。

しばらくは、体を震わせて熱を算出しようとする(シバリング)が、体温が32℃まで下がるとそれもできなくなり、意識障害が起こり、正常な判断が奪われます。32℃で震えが止まり、32℃が危険な状態との境界です。

32℃を下回ると…

低体温症がそれ以上悪化すると意識がなくなり、やがて呼吸と脈もなくなっていきます。うわごとを口走る、服を脱いでしまう、などの異常行動が見られるのがこの段階。

さらに体温が下がると意識障害が進み、28℃を切ると意識を失い、心肺停止状態に陥るといわれています。