登山のスズメバチ対策

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山で最も出現率が高く、危険な生き物、それがスズメバチ

実際、「熊」や「マムシ」よりも被害者・死亡者が多いのがスズメバチです。

人を刺すハチには、スズメバチ、クマバチ、アシナガバチ、ミツバチなどがいますが、中でもスズメバチは、攻撃性が強く、猛毒を持つので注意が必要!

以下で、『登山のスズメバチ対策』をご紹介します。

スズメバチとは?

スズメバチは、ハチの中でも比較的大型の種類が多く、攻撃性が高く危険な昆虫。また、強力な毒を持つスズメバチですが、毒針があるのは、メスだけです。

大きさ(全長)は、種類によって異なりますが、平均して20mmほどの大きさ。大型のオオスズメバチで27〜40mm、小型のクロスズメバチで10〜18mm

スズメバチの生態

スズメバチは、1匹の女王蜂を中心とした社会性をもった昆虫です。

スズメバチは、凶暴かつ好戦的で積極的に刺してくることで知られていますが、これは巣を守るためで、何もせずに襲ってくることはありません。人間を襲うのは、巣の近くにいるためです。

種類

スズメバチは、スズメバチ亜科の総称です。

主なスズメバチの種類は、以下のようなもの。

  • オオスズメバチ
  • ヒメスズメバチ
  • キイロスズメバチ
  • コガタスズメバチ
  • モンスズメバチ
  • クロスズメバチ

生息場所

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スズメバチは、平地から標高の低い山地に、巣を作り生息しています。木の枝だけでなく、「土の中」や「樹洞」などにも巣を作ることがあります。

うっかり、山道のやぶの中で、踏みつけると大変なことになります。

活動時期

スズメバチは、女王蜂が冬眠から目覚める「春」から、新女王蜂が誕生する「秋口」にかけて、活動します。

なお、働き蜂は、7月頃から羽化を始め、9月〜10月にかけて集団の個体数が最大になり、巣がもっとも発達します。

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 成虫のエサ 

スズメバチのエサは、花蜜・樹液・果実などを思い浮かべる人が多いと思いますが、主なエサは、終齢幼虫の唾液腺から分泌される「栄養液」。この液には糖分とタンパク質が含まれています。

この栄養液の不足分や終齢幼虫がまだ育っていない時期に、糖質を多く含む花蜜&樹液などをエサにします。たとえば、クヌギ、コナラなどの樹液、イチヂクなどの熟した果実など。

エサが不足すると、幼虫を臨時の食糧とすることも。

 幼虫のエサ 

スズメバチの幼虫は、種による違いはありますが、成虫が他の昆虫類などを肉団子にしたものを食べます

またオオスズメバチなどの一部のスズメバチは、ミツバチの巣を襲います。このことが、養蜂家を苦しめたり、ミツバチ減少による受粉不足を発生させ、生態系を乱しています。

天敵

スズメバチの天敵は、いろいろといます。

捕食される天敵では、人間の他に野鳥(ハチクマなど)、ニワトリやクマが挙げられる。また、昆虫では、オオカマキリ、大型のトンボ、クモなどがいますが、これらの昆虫との関係では、捕食または被食の双方立場になります。

非捕食関係だと、エサ場(木の樹液など)などで争う、大型の甲虫(カブトムシ、クワガタムシ、カミキリムシ等)、オオムラサキなどがいます。

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スズメバチに刺されないようにするには

スズメバチ対策は、次の3点が重要です。

  • 季節
  • 服装やニオイ
  • 近づかない

以下で、その理由を説明します。

特に秋の季節に注意する

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春から秋にかけて活動するスズメバチですが、秋期(9〜10月)は、最も危険な季節です。

秋は、新女王蜂が誕生する季節であり、さらに、多くのスズメバチがオオスズメバチへの警戒を強めて巣の防衛行動をより一層強くするため、注意を要する。※オオスズメバチは秋に他種のスズメバチやミツバチの巣を襲う

この時期の登山は、万全の対策を!

服装の色やニオイに注意する

黒い服や香水もスズメバチを興奮させる恐れがあるので、夏・秋に登山&ハイキングに行く場合は、香水や黒い服を控えるようにしましょう。

服装

肌の露出を抑えた服装はもちろんですが、服色は中間色がおすすめ。黒い服だと、ハチを刺激するそうで、攻撃されることがあります。

スズメバチは、『コントラストの識別によって、黒色や暗色を判断し、攻撃行動を活発化させる行動特性をもつ』と考えられています。そのため黒い服は、攻撃箇所により選ばれやすい。

また重要なことですが、興奮したスズメバチは、黒色のものをより攻撃するという意味で、白色のものを攻撃しないということではありません。

特に目を刺されないように注意してください!失明の可能性があります。

ニオイ

また香水・整髪料は、ハチの興奮を誘うので、登山&ハイキングにいくなら付けないように!

特に香水には、スズメバチの警報フェロモンと同じ物質が含まれていて、スズメバチをひきつけます。

また、アルコール飲料や清涼飲料水の取り扱いには注意が必要!糖分を求めたスズメバチがニオイに誘引されて近寄ってきます。飲まないときはしまう、缶入り飲料は避けるなど、スズメバチを寄せ付けないように!

ハチに近づかない

さらには、『ハチには近寄らない』という鉄則もあります。人間が近づくとそれだけで攻撃を仕掛けられたと思い、本能的に攻撃してくることがあるからです

スズメバチを警戒すべき場所は、次の3カ所。

  • 女王蜂のいる巣
  • 縄張り
  • エサ場

スズメバチは、女王蜂のいる巣や縄張りに対して、強い防衛行動をもつため、巣や縄張りから10m以内に近づくと警戒行動をとり、接近した者の周囲を飛び回ります。

無意識に巣に近づいていることもありますので、注意しましょう。

また、エサ場など、スズメバチが食べ物に集まっているところにも、近づかないこと。食べ物に対し、高い執着を持っています。

また、スズメバチの死体でも、触ると反応して刺してくることがあるので、触れないように!

スズメバチに遭遇したら

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スズメバチに遭遇したら、次のことを意識してください。

  • 姿勢を低くし、ゆっくりとその場を離れる
  • 手で払わない
  • 音を立てない

 姿勢を低くし、ゆっくりとその場を離れる 

スズメバチは、上下の動きが苦手です。また、ハチの目は、前方と上方はよく見えるが、下方は見えにくいといわれています。

姿勢を低く保ち、ジッとし、ハチが巣に戻るのを待つか、かがみながら後ずさり、刺激しないようにゆっくりとその場を離れてください。この際、体の動きをできるだけ少なくすることをお忘れなく。焦って逃げ出すのは止めましょう。

 手で払わない 

ハチは、縄張りに入ってきた素早く動くもの(特に左右に動くもの)に敏感で、その動くものに攻撃する習性があります。はたき落そうとして、手や衣類、タオルで払ったりすると、ますます攻撃的になります。

 音を立てない 

ハチの接近に驚いて、大声を出して騒いだりすると、却ってハチが興奮して危険度が増します。

「カチカチ」音は、威嚇音

「カチカチ」音が聞こえたら、行動は慎重に。

スズメバチは、警戒態勢に入ると、「カチカチ」と左右の大顎を打ち鳴らして、威嚇音を出します。そして、これは最後の警告

それでもその場から立ち去らないと、仲間のハチを呼び寄せて集団で攻撃してきます。よって、この音が聞こえたら、速やかに立ち去ってください。

注意が必要なのは、「必ず威嚇音を出すわけではない」ということです。実際は、無警告でいきなり集団攻撃してくることのほうが多い。

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スズメバチに刺されたときの対処法

スズメバチには毒があるため、刺されたら、適切な応急処置が必要になります。

以下で、「スズメバチの毒」また「刺された時の対処法」をご紹介します。

毒について

スズメバチの毒液は、いろんな毒の混合物で、別名「毒のカクテル」と呼ばれます。

毒液が体内に入ると、速やかに皮下組織に拡散、さらに血管を通じて全身を循環。それによって、激しい痛みや患部の炎症と腫れ、体温の上昇等の症状が起こります。

場合によっては、免疫系の混乱による急性アレルギー反応(アナフィラキシーショック)などを引き起こします。

毒針は、細かい刃のついたノコギリ状の構造で、防護服を着ていても刺される場合があります。そして、毒液が残っている限り何度でも刺してきます。

また、この毒液には、仲間を呼び寄せる警報フェロモンの効果もあり、仲間を集めて集団で襲ってきます。

スズメバチに刺されたら

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スズメバチに刺されたら、近くに巣があれば、毒液のニオイに誘われて仲間のハチも集まってくる危険があるので、まずはその場所から離れて、次のような応急処置を行ってください。

  1. 刺された場所、特に巣から離れる。
  2. 傷口を水で洗い流し、つねる要領で毒液を絞り出す。
  3. 消毒し、虫刺されの軟膏を塗る。
  4. 速やかに医者の診断を受ける。

刺された場所から離れ、木陰や冷たい水の流れている沢のソバなどに退避しください。

そして、水で傷口をすすぎます。患部を冷やしたり、毒液の排出のためです。毒が体内にまわるのを防いでください。

次に、傷口をつまんだり、吸引器(ポイズンリムーバー)を用いて、毒液を体内から外に出します。この際、口で毒液を吸い出してはダメ!※口に傷があったら、そこから毒が体内に入る可能性があるため


『ポイズンリムーバー』の詳細はコチラ

抗ヒスタミン薬やステロイド薬の飲み薬を持っていれば服用か、軟膏を持っていれば傷口に塗ります。腫れがひどいときには副腎皮質ホルモン剤軟膏をぬってください。

また、めまい、嘔吐、腹痛、気分が悪い、呼吸が苦しい、腫れがヒドいといった場合には、なるべく早く下山して、医療機関に向かってください。

症状が重い場合は…

もしも刺されて全身の震えや血圧低下による顔面蒼白など、アナフィラキシー・ショック症状が出た場合には、一刻も早く救助要請をする。

アナフィラキシーショック(重度のアレルギー反応)

アナフィラキシー・ショックとは、過剰なアレルギー反応のこと。

スズメバチやアシナガバチ、ミツバチに刺されても、1度目は反応がなく、体内に抗体ができます。しかし、2度目に刺されたときに、免疫が過剰に働き、重度のアレルギー反応の症状を起こす。

※アナフィラキシー・ショックは、必ず起こるわけではありません。

アナフィラキシー・ショックの症状

アナフィラキシー・ショックを起こすと、次のような症状が出ます。

  • じん麻疹
  • 咳込み
  • しびれ感
  • 気分不快
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 発熱

さらに血圧低下、呼吸困難となり、死亡することもあります。

即刻、救援要請をする必要がありますが、その前の緊急処置としては、「エピペン」などのアドレナリンの注射があります。

エピペン

エピペンとは、アナフィラキシーの症状が起きた時に、自分で注射できるように作られた自己注射器です。アドレナリンが2ml入っています。医師から処方を受けるなどの方法で入手できます。

過去にハチに刺されたことがあれば、「エピペン」を医師に処方してもらい、携行することをオススメします。

【エピペンの使い方】

ショック症状が起きた時に、注射管を太ももの内側の筋肉に立てるようにして刺します。緊急時は衣類の上からでも可能。すぐに症状が改善されますが、補助的な役割を果たすだけに過ぎず、効力があるのは30分ほど。その間に急いで医療機関に行ってください。

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